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ドライブシャフトブーツ交換


FF車のドライブシャフトは、駆動と旋回を一緒に受け持っていますので、負担がかかりやすく、固定ジョイントのブーツが破れやすい傾向にあります。
ブーツが破れたらすみやかに交換すればよいのですが、気づかないまま走行を続けると、固定ジョイント内に水や異物などの進入でベアリングが駄目になり、旋回時に異音がするようになってしまいます。 こうなってしまうと、ジョイントやベアリングの交換(大抵はシャフトアッシー交換)も必要になり、返って修理代が高くついてしまいます。

私のプリメーラも、旋回時の異音が気になってきたので、シャフトごとの交換を考えました。
今回、プリメーラ研究室のHirotanさんより、ビスカスなし車用ドライブシャフトを譲っていただきましたので、ありがたく使わせていただくことにいたしました。ありがとうございました。

シャフトを交換する前に、ブーツを新品に交換(アウター側、インナー側)してしまいます。ここの方法は、HP10 SR20DE車 ビスカスなしの方法です。仕様違いで方法が異なってくると思いますが、基本的に進め方は共通だと思います。
ここで固定ジョイントとはアウター側(タイヤ側)のジョイント、スライドジョイントとはインナー側(ミッション側)のジョイントのことを言います。

参考文献
日産PRIMERA P10型整備要領書
オートメカニック誌 2004年2月号 20万キロ快適メンテ P10編


1.
頂いたドライブシャフトです(画像左)。ブーツが少々やれてきているので、迷わず新品に交換します。

注文したドライブシャフトブーツ、グリス(画像右)です。最近ではジョイントを分解しなくても交換できる半割れタイプのブーツがありますが、 個人的に嫌いなので普通のタイプを注文しました。手前にあるのはミッションのバックスイッチです。親戚の整備屋を通じて注文したのですが、全部で7000円でした。
今回注文したブーツは社外品です。民間の整備屋で修理すると一般的に採用するメーカーですね。
アウター側(タイヤ側の固定ジョイント)ブーツ 制研化学工業 SB71(ミヤコ自動車工業の場合 MB-1214)
インナー側(ミッション側のスライドジョイント)ブーツ ミヤコ自動車工業 MB-1177

頂いたドライブシャフト ブーツキット


2.
ベアリングの状態の簡単な見分け方として、画像右のように固定ジョイントを上に上げてみて、 画像右の奥のシャフトのように下に「プラーン」と下がってこなければ正常だそうです。これは整備屋の叔父さんに教わった方法です。
画像右の手前側のシャフトは見れば分かるように逝ってます。ジョイントを動かした時の手応えがスカスカです(爆)。 こっちのシャフトは以前、Yahoo!で落としたのですが、完璧にやられました。入札するときには気をつけましょう。

上げる 見れば一目瞭然

3.
いよいよブーツ交換作業に移ります。作業の進め方としては、@インナー側(ミッション側)のブーツを外し、Aスライドジョイントを分解し、Bダンパーをずらして外し、Cアウター側ブーツをずらして外す(交換)順番で行きます。 この方法ならば、アウター側の固定ジョイントを分解する必要はありません。インナー側のスライドジョイントは比較的簡単に分解しやすいので、私のこの方法で作業しました。シャフトは左右で長さが異なりますが、作業方法は同じです。
ここから先の作業は、グリスが手に付きますので、耐油ゴム手袋をしましょう。ジョイント、シャフト洗浄には灯油を使います。バケツに灯油を汲んで用意しておきましょう。ブレーキクリーナーではいくらあっても足りませんし、お金の無駄です。

インナー側(ミッション側)のブーツを外すため、ブーツバンド(大小両方)を外します。折り曲げて留めているところをマイナスドライバーなどで起こし、外します。 バンドは再使用はしないのでニッパなどで切ってしまってもかまいません。
バンドを外したら、ブーツをずらしてジョイントハウジング内が見えるようにします。

バンドを外す ブーツをずらす

4.
スライドジョイント内の円周部分にある、ストッパーリングを外します。グリスで隠れて見えにくいですが、 拭き取ってやるとストッパーが見えますので、マイナスドライバーなどで軽くこじってやれば外れてきます。 整備要領書では新品交換が原則ですが、変形していない限り再使用しても問題ありません。(自分は再使用しました)

ストッパーリングを外す 外れたストッパーリング

5.
ストッパーリングが外れたら、ジョイントハウジングを押さえて、シャフトを引けばすんなりベアリングが出てきます。そのとき、ベアリングのスチールボールが外れてきますので、すべて(6個)外します。落として傷をつけないように注意しましょう。
ベアリングを引き出す スチールボールを外す

6.
インナーレース、ボールゲージを外すために、インナーレース先端にあるスナップリングを外します。リングプライヤーなどで広げて外します。
これも新品交換が原則ですが、再使用しました。

スナップリングを外す 外れたスナップリング

7.
インナーレースを外します。ただ引っ張っても外れませんので、画像左のようにプーラーを使って外します。外れたらブーツも外してインナー側の分解は完了です。

インナーレースをプーラーで抜く ブーツを外してインナー側分解完了

8.
分解したジョイントの構成部品(インナーレース、ボールゲージ、スチールボール、ジョイントハウジング、スナップリング、ストッパーリング)、シャフトに残ったグリスを灯油を使って洗浄してやります。 綺麗になったらパーツクリーナなどで残っている灯油を洗い流します。灯油が残っていると、取り付け時にせっかくグリスを塗っても、灯油で分解されてしまいます。

灯油で洗浄する 洗浄完了

9.
ダンパー、アウター側ブーツのバンドを外して、ダンパーとブーツをずらして外します。(画像左)。ダンパーは外す前に位置をマーキングしておきます。また、ダンパーは左右で区別がありますので、外したときにどちらのシャフトに付いていたか覚えておきましょう。ここまでくれば、グリスを塗ってあとは新品ブーツを逆の順で取り付けていくだけです。

ダンパー、ブーツを外す 外れた図

10.
ベアリング周りのグリスを綺麗に拭き取ります。その後、新しいグリスを塗って、新品のバンド(大)、アウター用ブーツ、バンド(小)の順で差し込み、ブーツをバンドで留めます(画像右)。 バンドは潰して留めるタイプとワンタッチ式と2種類あります。前者の場合は、回転方向にバンドを巻き、留める時は一旦バンドを潜らせる部分を叩いて潰し、余った部分を回転方向とは逆方向に折り曲げ、さらに叩いて潰します。余った部分は1cm程度残してニッパで切り取ります。他にも余った部分を巻いていって潰す方法などがあるようです。
後者のワンタッチ式の場合は、回転方向とは逆に巻くようにして留めます。

その後、ダンパーを取り付けます。バンドを先に1本入れ、ダンパーを差込み、最後に1本バンドを入れて、ダンパーを外す前にマーキングした位置、もしくは画像右を参考に調整してバンドで留めます。 ダンパーのバンドも新品に交換が原則ですが、私はこっそり再使用しました(爆)。このダンパー位置調整距離はSR20DE車、ビスカスLSDなしの方法です。別車では異なります。(整備要領書に基づく)

ベアリングにグリスを注入し、ジョイントにブーツを被せる ダンパー位置調整

11.
インナー側のジョイントを組み立てる前に、新品のバンド(小)、インナー用ブーツ、バンド(大)をシャフトに差込みます(画像左)。
その後、ボールゲージを差し込みます。ボールゲージは向きがあるので注意します。画像右のようにお椀のように、上が広く、下が狭くなっています。広いほうがジョイント側、狭いほうがダンパー側です。

ブーツを差し込む ボールゲージ

12.
シャフトにインナーレースを差し込みます。インナーレースも向きがありまして、画像左のように溝があるほうがジョイント側(シャフト先端)になります。 インナーレースをプラハンなどで軽く均等に叩いて差し込んでいきます。画像右のようにスナップリングを取り付ける溝が見えるようなったら、スナップリングを忘れずに取り付けます。

インナーレースを差し込む スナップリングを取り付ける

13.
先ほど差し込んだボールゲージをインナーレースに重ね、スチールボールを取り付け、ベアリングを組み立てます。その後、グリスを塗りたくります。ボールが落ちないようにシャフトを立てて行います(画像左)。
その後、スライドジョイントハウジングを取り付けます。そのままシャフトを立てた状態で、上からジョイントハウジングをそのまま被せるようにすればうまくいきます。差し込んだらストッパーリングを忘れずに取り付けます。シャフトを少し引っ張ってみて、ジョイントハウジングからベアリングが飛び出してこないか、 ストッパーリングがしっかり付いていることを確認し、最後にブーツを取り付けてバンドで留めれば完了です。

ベアリングを組み立て、グリスを塗る。 ジョイント、ブーツを取り付ける

14.
交換完了!
右ドライブシャフトにダンパーがなかったので、Yahoo!で落としたインチキシャフトから移植しておきました。

交換完了!


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